Report

動画発表イベントレポート

もし、三日間だけ目が見えるとしたら。ヘレン・ケラーが、私たちに伝えたいこと

ヘレン・ケラーのエッセイ「Three Days to See」を基に映像化したオリジナル動画「もし私の目が三日間だけ見えるとしたら」の発表イベントが2018年3月27日に都内で開催されました。
視覚と聴覚に障害を持つヘレン・ケラーは、この作品の中で、家族や親しい人への深い想いとともに、自然の美しさや人間が生み出す芸術の偉大さ、働く人々の力強い世界、そしてそれらが「見えること」の素晴らしさを伝えています。

イベントでは、プロフィギュアスケーターの織田信成さん、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ 代表理事の志村季世恵さん、理化学研究所 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダーで眼科医の髙橋政代先生がゲストとして登場し、それぞれの視点でこの動画の感想や「見えるを見つめる。」についてのお話をしていただきました。

「明日、視力を失ってしまうかもしれないと想像してみてほしい。するとあなたの目は今まで見過ごしていたものに目を向け、見るものすべてを愛おしく感じるだろう」

髙橋先生 髙橋先生
IPS細胞を使った網膜の再生医療研究の第一人者である髙橋先生は、現在、神戸アイセンターで、視覚障害者の医療のみならず、福祉、就労・就学支援に関わり、視覚障害の本当の姿を広く知ってもらうための「isee!運動」も展開されています。

視覚を失っても
人は暗黒にいるのではなく、
美しく豊かな世界を見ている

「感動的な動画。ヘレン・ケラーの見えないことの悲しみと同時に、幸せも描かれていると思う」というのは、眼科医の髙橋先生です。
「この動画から、改めて見えることの大切さに気づかされるとともに、視覚を失っても人は暗黒にいるのではなく、美しく豊かな世界を見ているのだということがわかっていただけると思います」
(髙橋先生)

ヘレン・ケラーは私たち以上に
『観て』いたのではないでしょうか

また、視覚障害者の案内のもと、暗闇の世界を体験できる「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」など、異なる文化や背景を持つ人同士の対話の場を提供されてきた志村さんは、「目で見るというより、心で感じている言葉がたくさんありました。ヘレン・ケラーは私たち以上に『観て』いたのではないでしょうか。この動画によって、私たちは自分の見える世界を捉え直すことができます」と言います。

志村さん 志村さん
視覚障害を持つご夫婦が両手で丁寧に赤ちゃんに触れながら、おむつ替えや授乳を行っていくときの動作の美しさや「一瞬不便かもしれないけれど、実は豊かな時間」を見て、その丁寧なあり方が強く印象に残っていると言います。

目の健診や定期的な眼科の受診を

日頃、患者さんと接する中でも見えることの大切さを感じておられる髙橋先生は、目の健康を守るための行動として「眼の健診」の重要性を訴えました。「眼の病気は自覚症状がないものも多く、見落としがち。気づいた時にはすでに治療が及ばないほど進行している例も少なくありません。眼の健診を受けたり、定期的に眼科を受診したりして、問題があったら放置しないことが重要です」と言います。

目で、心で見る

「網膜で光を受け取り、神経を通して脳で見ている」という目のメカニズムにより、「たとえ同じ景色を見ていても、ひとりひとり見えているものは違うのです」と、髙橋先生は言います。その世界の中で、「見たいものしか見ないのではなく、今、本当に美しいものを見ているだろうかということも少し考えてほしい」と髙橋先生。
また、志村さんは、視力を失いつつある娘に笑顔のプレゼントをした母と、視力を失ってからの方が母の笑顔を感じると話す娘の話を挙げ、人と向き合い、その感情や心の機微を読み取ることの大切さを訴えました。そして観客の皆さんに「ヘレン・ケラーがもしここにいたら」と仮定し「目を使うことに意識を向けて、隣の席の人と互いに見つめあい、挨拶しあってみませんか」と提案。皆さんは、早速、座席で実践されていました。

トークショーを終えて

トークショーの後は、観客の皆さんがイベントパネルの前で記念の一枚をパチリ。動画の最後のメッセージである「あなたは今日何を見ましたか?」の問いに、「自身にとって大切な人」「満開の桜」「平凡な日常生活の大切さを感じた」といったメッセージが記されました。

また、アンケートでは、「感動で胸がいっぱいになりました。多くの方に動画を見てほしい」「見えるということが当たり前になりすぎていた日常に気づくことができた」といった感想が多く寄せられました。

記念の一枚 記念の一枚